高難度根管治療の1例

 木津川市城山台 西歯科クリニックの院長の西です。

 1月下旬の急病での休診ではご迷惑をおかけし、現在では病前より予約をやや少なくしておりますものの、ほぼ通常の診療を行っております。

 また、祝日のある週の木曜日は診察日とさせていただいておりましたが、復帰後より通常の木曜日と同じく休診日とさせていただいております。

 学会や研修で臨時休診がある週については、木曜日の診療を行っております。

 

小規模医院としては珍しく、マイクロスコープ(歯科用手術用顕微鏡)を複数台(2台)備え、院長が得意とする審美歯科治療(日本歯科審美学会認定医の認定を受けています)や手術(10年以上勤めた大学病院口腔外科を退職してからは大きな手術はしておらず、歯周外科手術や一部埋伏歯抜歯等のみとなっておりますが)等、にしばしば使用しておりますが、院長が好きな治療は他にもあり、根管治療については毎年のようにある根管治療(「エンド」といいます)で有名な歯科医師のセミナーを受けにいっているぐらいですが、こちらの治療にもよく使用しています。 なお、根管治療は歯科医師で「好き」という人は30%もいないと聞いたことがあります。 高度な技術、治そうという強い意志、折れない根気 が必要にもかからず、健康保険の診療報酬が非常に安いからというのが大きな理由の一つと聞き及んでいます。 実際に日本の健康保険診療での根管治療の料金は、諸外国異と比べて異常に安いと言われています(アメリカの1/20~30、中国とでも1/10程度だとか)

  マイクロスコープは肉眼で見えないものが見えるというのは非常に大きなアドバンテージなのですが、使いこなすには相当な修練が必要です。私もまだまだ修業半ば、おそらく歯科医師を引退するまで続くことと思います。 他の治療についても同じではありますが。

数年前より、健康保険の根管治療においてマイクロスコープの使用や形状記憶合金(Ni-Ti合金)でつくられた器具の使用に一部ではありますが評価がされるようになったため、当院でも難易度の高い根管治療に使用しております。

その1例です。

このような、S字状に強く湾曲した歯の根の再治療が必要になりました。  根の先が少し黒くなっていますが、以前(他院治療)根の治療されてはおりますが、根管内に残るバイ菌による炎症を繰り返し、骨が少し溶けている状態です。

根の治療後に充填する薬が根の先まで入っておらず空洞が残り、そこにバイ菌が増殖しているのが一番の原因と思われます。 根の再治療を行い、可能な限り根の先付近まで薬を充填し直す治療が必要ですが、このような強い湾曲をした歯の治療は従来の器具では非常に困難です。 まず先端まで届きません。

しかし、形状記憶合金の器具やマイクロスコープ、CT画像を駆使することにより、このような状況の歯でも非常に難度は高いですが、治療可能となってきました。

治療後のレントゲン写真です

このように、強いS字状湾曲の先ギリギリまで薬を充填することができました。

現在、炎症症状は出ていません。

 

術者の高度な技術だけでなく、治療器具のお陰でもあるのですが、これら治療器具等を使用すると、健康保険で定められた診療報酬を超える機材・材料費がかかってしまうことも珍しくありません。世間で流行のSDGsの観点でいうと、赤字となるような方法というのは、持続可能な方法ではありません。続けることができません。

無論、健康保険での治療もしておりますが、そこにはどうしても天井が存在します。高難易度な治療はコスト面できつい制限を受けてしまい、ある程度のところで妥協せざるをえません。  ですが自由診療ですと、それらの天井を取り払い、制限なく治療ができるようになります。

当院では、根管治療や一部の歯周外科治療のような健康保険で可能な治療について、保険の制限なく高度な治療が行える自由診療による治療を提案する場合があります。

決して「利益」のために提案しているのではなく、「より良い治療」をするために提案していることをご理解いただけますと幸いです。