こんにちは。院長の西です。
雨の季節に目にする機会が多いアマガエル。
鮮やかな緑色をイメージされる方も多いと思いますが、
実はアマガエルの体の色は、
外敵から身を守るために
周囲の環境に合わせて
黄緑や茶色、白、灰色などに変化します。
さて、アマガエルは保護色で周囲に溶け込んでいますが、
同じように、歯の治療でも治療箇所が目立たないように
白い素材を使うことがあります。
その代表が保険診療でも利用できる
CRという白いつめものです。
◆CRってどんな素材?
CRとは、
コンポジットレジン(Composite Resin)のことで、
セラミック粒子と合成樹脂を混ぜた
複合プラスチックの素材です。
「樹脂」と呼ばれることもあります。
白い素材のため、
見た目の違和感が少ないのが特徴です。
◆むし歯治療が1回で終わる!?
CRを使うメリットは
見た目だけではありません。
通常、つめものを使った治療では、
治療箇所の型を取り
その型を使って、つめものを製作する
という工程があるため、製作に必要な時間も
数日から1週間程度かかります。
つまり、最低でも2回は通院しなければなりません。
しかし、
CRの場合はこれらの治療を
1日で済ませることができます。
CRは粘土状の柔らかい素材のため
『型取り』の必要がなく、
「特殊な光を当てるとその場ですぐに固まる」
という性質があるからです。
この性質のおかげで
治療が短時間でできることも
CRの大きなメリットのひとつです。
◆全部CRにできないの?
このように、
CRは白くて目立たないだけではなく、
短時間の治療で終わるというメリットがあります。
そのため
「むし歯治療は全部CRにしたい!」
と思うかもしれません。
ところが、
CRはプラスチックが使われているため、
強度が弱いという弱点があり、
大きなむし歯など、広い範囲を削った歯には
使うことができません。
また、大臼歯(奥の大きい歯)は噛む力が強くかかるため、特に噛む面へのCRの使用は適しているとは言えません。摩耗や欠けなど早期に発生することが多く、かみ合わせへの影響や二次う蝕の原因となり、長くもつ材料ではありません。 CRの製品開発に関わる歯科医師の先生も、「使用する場所はよく考える必要がある」とはっきりと言われます。
そして、プラスチックであるという性質上、過酷な口腔内環境にさらされ劣化します。
咬合負担が大きくかかる大臼歯へCR治療が行われ、比較的早期に極度の摩耗やチッピング(欠け)を起こした写真です。日々治療を行っていると、このような症例は数多く見られます。このような状態になると、CRが異常にすり減った分歯が動いてしまいかみ合わせに影響が出てしまったり、他の歯への負担が増え悪影響が出たり、また再治療もさらに深く削らないといけなくなったり、かみ合う反対側の歯を削ることもあります。 怖いですね。
当院ではこのようなCRの機械的性質を理解した上で、CR治療のメリット・デメリットについて時間を割いてご説明させていただくことが多く、機能回復と長持ちする治療という点から、セラミックス(自由診療)や保険の場合は金属による治療をお勧めすることも少なくありません。
◆むし歯は小さいうちに治そう
むし歯は小さいうちに発見できれば、
CRで治療することができます。
しかし、そういった小さなむし歯は
自覚症状がない事がほとんどです。
自身ではなかなか気づくことができず、
痛くなった時には
大きなむし歯になってしまっていることも。
そこで大切なのが、
定期的な歯のチェックです。
むし歯を早期発見できれば
CRを使って治療できることが多く、
時間も治療費もかけずに済みます。
また、削る量も最小限で済むので、
「歯の寿命」という意味でも、
早期発見・早期治療はとても重要です。
定期検診は欠かさずに受けるようにしましょう。
西歯科クリニック
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